結局、キー(key)信号って何?
2024.06.01
こんにちは。DCです。
前回のキーイング合成のコラムが好評との事でキーイングの補足と豆知識です。
放送技術がデジタルに移行したことによって、映像編集技術がデジタル画像処理をベースとしたものになりました。
・・・お陰様で、『キー信号って「アルファチャンネル」と同じでしょ』なんて人に出会えます。
仕方ない・・・、デジタル画像処理が当たり前だからデザインや配信の人たちがキー信号に触れる機会はまったくないでしょう。
なので、要点だけをまとめよう。試験に出るよ!!
意味 | 使用方法 | 由来 | |
キー信号 | 不透過度 | 画像が表示される領域および不透過度を指定する。 | 映像編集 |
アルファチャンネル | 透明度 | 画像に対して透明度を指定する | デジタル画像処理 |
つまり、全く逆の意味合い。キー信号=アルファチャンネルは大きな誤りです。
キーイングで言われている切り抜く信号っていう解説はキー信号100%で領域を切り抜くから。
また、切替える画像のキー信号を0~100%に変更することでクロスフェードが可能です。
放送局での事例:
「これ(ウォーターマーク)、20%透けにして」と聞いてどう思う?(最近は無いと信じたい・・・)


配信機材や美術スタッフの方々でなんとなく、アルファチャンネルの値を逆にしていませんか?ピンとこない方は某有名写真編集ソフトのレイヤーにある「不透明度」を操作してください。
それであれば、意味が分かり易いと思います。
●テロップのキー信号の昔話
テロップ(Telop)は、プロジェクターの一種で、アメリカ合衆国のGray社が実用化したテレビ放送用の静止画送出装置の商標で「テレビジョン・オペーク・プロジェクター」(Television Opaque Projector = テレビ用不透明式投影機)の略です。発表は1949年でデジタル画像処理なんて全くない時代の代物。現存するなら産業遺産レベルではないでしょうか。
「オペーク」が不透明を意味していることからも、キー信号を文字の形にして表示させていたことが鑑みれます。
さて、実際にどうやってテロップを作成していたかというと、写植機を使用した紙焼きテロップと手書きテロップがあります。手書きテロップは職人技なので美術さんの世界です。 主に番組タイトルなどに使用されてたいので、テロップを作成する部署を「タイトル室」と呼ぶ基になっていると思われます。(1993年のお昼の番組動画では手書きテロップしかなかった。・・・今、思うと恐ろしい)
「テロップカード(オペークカード)」という縦12.5cm×横10cm×厚さ0.3mmの艶のない水性塗料で黒く塗られた紙に白く書かれた表示させたい文字や図像を映像信号に変化し、映像信号処理回路(スーパープロセッサ)を介すことでカードの背景を透過させ、下地の映像信号と重ねて合成(スーパーインポーズ)します。
キーイングでいうとルミナンスキー合成でタイトル画像を表現していたことになります。