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フォントライセンスって何?

2025.02.01

こんにちは。最近、寒暖差が辛くなってきたFMです。

その昔は1枚1枚手書きで作成していたテロップも電子化されPCが使われるようになると色々なデザインのフォントを気軽に使えるようになりました。
しかし、気軽に使えるからと言って油断していると大変なことになってしまいます。
今回はテロップメーカーとして、とても身近なフォントについてまとめてみました。

フォントライセンスとは?
「フォント」は、みなさんご存じの通り文字の形やデザインをまとめたものを指します。
テロップを作ったり、デザインをするときにどんなフォントがいいか悩みますよね。
ですが、このデザインは、著作権で保護されています。
無断で利用すると、著作権侵害になってしまい「ライセンス違反だっ!」と怒られてしまいますので注意しましょう!(厳重注意ならいいですが裁判沙汰もありますのでくれぐれも注意してください…。)

フォントの「ライセンス」は、そのフォントをどのように利用できるのかを決めたルールです。
主な種類としては、商用利用可・不可、利用範囲(印刷物、Web、動画など)、改変の可否などが挙げられます。無料のフォントでも、商用利用が制限されていたり、改変が禁止されていたりするケースがあります。(数多あるフリー素材の落とし穴と一緒です)
この中の「改変の可否」に気づいた方、そうですっ!これ、「外字」が当てはまりますので気を付けましょう!

フォントメーカーはフォントのブランドを、どのように利用してほしいか、明確なルールを設けることで、どのような使われ方をしているかなどをよく観察しています。
一昔前の人間であるFMは誰々が持ってるフォント借りてそれで作ってなどと言われていましたが今となると恐ろしい一言です…。
フォントライセンスは、メーカーのフォントの作者の権利を保護し、利用者も安心してフォントを利用できるようにするために大事な事になります。

通常フォントと放送許諾フォントの違い
フォントのライセンスにも種類があります。主な2種類は
1. 通常フォント(PCなどに最初から入っている例のM〇なんちゃらとかA〇obeなんちゃらとか)
・一般的に私たちが普段利用するフォント
・ライセンスの種類や利用範囲はフォントによって異なる
・無料フォント、商用利用可能なフォントなど、様々な種類があります。

2. 放送許諾フォント
・テレビ番組やCMなど、大規模な放送で使用されることを前提としたフォント
・高画質、高解像度での出力に耐えうる品質
・通常フォントよりも高額な場合が多い
・放送局や制作会社が利用することが多い

なぜ放送許諾フォントが必要なのか?
●高品質な映像制作の必要性
 放送は、非常に多くの視聴者に届けられるメディアです。そのため、高画質・高解像度の映像が求められます。放送許諾フォントは、テレビや映画など大画面でも「美しく」表示されるように設計されているので、細部までクリアで読みやすい文字を提供してくれます。(アナログ時代はどんなに頑張ってもつぶれてしまい泣きましたが…)

●高い解像度に対応
高精細な映像でも、文字がつぶれたり、ギザギザになることなく、美しい表示が可能です。

●様々なデバイスに対応
 テレビ、スマートフォン、タブレットなど、様々なデバイスで視聴されることを想定し、最適化されたフォントが提供されます。

●専門的な調整
 プロのデザイナーによって、映像に最適な文字の太さ、間隔、バランスなどが調整されています。

●法的な問題を回避するため
 放送で使用されるフォントは、著作権がしっかりと管理・保護されています。
放送許諾フォントを使用することで、著作権に関するトラブルを未然に防ぐことができます。

●無断使用の防止
 無断でフォントを使用すると、著作権侵害となり、損害賠償請求などの法的問題に発展する可能性があります。(これ使って!のフォントの入手先は確認しましょう…。)

●ライセンス契約の明確化
 放送許諾フォントには、利用範囲や期間などが明確に定められたライセンス契約が伴います。これにより、安心してフォントを使用することができます。(MACアドレス管理とかデバイスライセンスとか複雑になってきたので注意が必要です。なかには更新期間中にライセンスが更新されないと勝手に削除を始める恐ろしいシステムも内蔵されていたりします…。)

●イメージの統一性
 放送番組では、統一感のあるデザインが非常に重要です。放送許諾フォントは、番組のテーマやイメージに合うよう様々なフォントの中から仕様選定し、番組全体の統一感を高めて視聴者に一貫した印象を与えることができます。

●ブランドイメージの構築
 ブランドイメージを確立し、視聴者に強く印象づけることができます。

●プロフェッショナルな印象
 高品質な放送許諾フォントを使用することで、番組のクオリティの高さをアピールし、視聴者の信頼を得ることができます。

●番組の世界観の表現
 番組の世界観や雰囲気に合わせて、最適なフォントを選ぶことで、より没入感のある番組作りができます。

フォントライセンスを選ぶ際の注意点
利用目的を明確にする
●商用か非商用か
 放送が目的ならばもちろん放送許諾のあるもの。広義で言えば商用利用可能なライセンスのフォントを選びましょう。

●利用媒体
 Webサイト、印刷物、動画など、利用する媒体によって、許諾されている範囲が異なります。例えば、Webフォントとして利用できるフォントは、印刷物には利用できない場合もあります。

●利用規模
 小規模な個人制作か、大規模な企業のプロジェクトかによって、必要なライセンスの種類や価格が変わってきます。ライセンス数によっても変わってくるのでよく確認しましょう!

●改変の有無(ここ大事!テストに出ます!)
 外字を作成することは改変になるので、外字を作成する必要がありそうな案件(特に人名を多く出すようなスポーツ中継や選挙など)の場合は、改変が許可されているライセンスのフォントを選ぶ必要があります。(最近はだいたいNGですが…。)

ライセンス内容をしっかり確認する
・利用範囲
 商用利用、非商用利用、改変、再配布など、どのような行為が許可されているのかを具体的に確認しましょう。

●利用制限
 利用できる文字セット(いわゆる字形ですねJIS90とかJIS2004とか)これが違うと全く異なる文字が出るので要注意です!よくある違いとしては「鯖」「辻」「葛」などがあります。(お使いの環境で違う字形が表示されているはず。「青」か「円」、「、」が「一つ」か「二つ」、「人」か「メ」)※字形についてはまたいつか・・・
 このほかにライセンス期間や認証がネットワークだけなのかオフラインでも大丈夫なのかなど使用環境に合ったものを選んでください。

フォントライセンスは、単なる手続きではなく、テロップ作成やデザインに不可欠なものです。適切なフォントライセンスを締結し、作品の質向上、トラブルを未然に防ぎましょう!



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